無。

なにもありません。

オタクがきらい

 しばらく放置していたらはてブからメールが来た。なんとなく関心してしまった。

 勢いで始めてはみたけど、ブログって難しい。映画や読んだ本のことならツイッターに書き込めば充分だし、あちらの方が感想を共有したり考察の意見を出し合ったりできて楽しい。

 それにそもそも長文で発信したいことが自分の中にはない。

 そういうものを見つけようと思ったのもブログの一つのきっかけだったのに、これに気づいてしまったのは悲しい。昔はあんなにオタクだったのに。

 

 最近はオタクを好きになることも難しくなった。

 自身がオタクだったから、単に同族嫌悪の延長で気に入らないと思っているだけかもしれない。けれども他に思い当たることもある。

 

 昔オタクだったぼくからオタク趣味を取ったらただのキモい陰キャになってしまった。本当に、なにもおもしろいところのない人間だけが残った。 

 社会人になればオタクでいるのは難しい。アニメを観るのも面倒になったし、ソシャゲをやるのもしんどくなり、同人誌即売会のあとの飲み会(いわゆるオフ会)に行く気力もなくなった。だから働いていてなお、そういった趣味を続けていられる人たちがましいのかもしれない。要するに言えば、ただの嫉妬だ。キモいインキャの嫉妬。

 最近のメディアでの傾向を見ていると、オタクというのは何か一つのことに熱中していたり極端な趣味のある人たちではなく、何か変な趣味のありそうなキモい男であるという文脈の中で使うのが主流のように感じる。その定義に当てはめれば、ぼくこそが気持ち悪いオタクであり、ぼくが散々つばを吐いてきた(と勝手に思っている)人たちは単にアニメやゲームに熱中している人に過ぎない。広義のリア充だ。陽キャだ。負けたのはおれだ。

 

 昔好きだったことが今では心動かないというのは、仕方のないことだと思う。時間と共に変わってしまったのはコンテンツの質でなく、本人の感性だから気に入らなくなったら叩くということもしない。それでもまだモヤモヤするのはたぶんコンテンツそのものでなくそれを愛好していた人たちに思うところがあったからか。

 

 ぼくが出入りしてたコミュニティに特有だったのかどこもそんなものなのかわからないけど、アニメやゲーム好きなオタクには倒錯した人が多かった。

 グロテスクな絵面や極端に暗く湿ったシチュエーションが大好きだったりやたらハードな性癖を持っていたり、そんなものが好きな自分が好きな人がいたり……

 これが中高生の話だったらそんな時期がある人もいるね、と笑えるけどそろそろ三十路が見えてきたお兄さんたちが居酒屋で大笑いしながら話しているとなかなか苦しい。上手く言葉にはできないけれど、なんだかなぁという気分になる。まあ飲んだくれてしゃべることなんて仕事の話かエッチな話かみたいなところあるし、そんなもんだよな。

 

 なんとなくだけどそういうオタクからは「こんな嗜好にたどり着いたおれすごいだろ? 啓蒙してやるからもっとおれを持ち上げろ! オタクの真髄見せたる!」みたいな選民思想めいたものが見え隠れしている。特に同人誌を頒布している人に多い。これは偏見か。

 でもそんな家族や職場では大っぴらにできない性癖振り回しておいて持ち上げろとは。それに関しては「自分はちゃんと現実と創作の区別がついてるからいい。二次元であるなら何でも許される」という乱暴な意見も見え隠れする。そして実際に経験したことを話すといやな顔をされる。二次元なら何でも上手くいくように描けるから、彼らにはそっちが至高なのだろうか。風俗体験なんて話そうものなら自分らのことは棚にあげて「変態! DQN! 犯罪者!」みたいに扱われる。清純か。現実は悪で、創作は善なのか。それは悲しい。  

 たぶんこういう漠然としたモヤモヤが溜まっていって少しずつ離れていった気がしないでもない。嗜好なんて人それぞれだとは行っても、目を背けたくなるような性癖を二次元だから、創作だから、の一言で抑えて他人にも好きになれと叫ぶのはちょっとキツい。そして自分のことを棚にあげてそんなオタクは害悪だってツイッターでぶつくさ言うオタクもキツい。

 

 けど一番最キツいのは大した趣味もなく用事がなければ引きこもってるオタクでもない気持ち悪い生き物がこんなことグチグチやっていることだ。

 こうやって書いたこともぼくの主観に依るところがだいぶ大きい。必ずしも正しい見方をしているだなんて思っていない。嫉妬補正みたいなものもっている。自分にもうんざりだ。

 

 あの頃が懐かしい。最近のアニメなんていくつタイトルを見ても何一つわからないし、キャストを見ても知っている声優の名前が一つもない。ずいぶん遠ざかった。

 リアタイで深夜アニメを観ていれば眠気は感じなかった。ソシャゲのストーリーについての考察を交わせばいつまでも話していられた。もうすっかり昔の話。悲しい。

 

 当時に戻りたくて仕方ない。でも時間が巻き戻せないことをよく知っているからこうして不特定のオタクに八つ当たりしちゃうのかもしれない。なにもかもむなしい。ありがとう。